桜のつぼみがふっくらしてきて、開花ももうじきですね。
お花見が楽しみです🌸
さて、今回お伝えするのは2月24日に開催されたプログラム【マンガ講座】。
かしわサポステでは初めてにして、プロの漫画家の方の講座とあって、
イラストが趣味だったり、マンガの世界に興味津々の利用者さんが参加。
(実は、スタッフも入れ替わり様子を見にいくほどでした^^;)
注目の講師は『ジャンプ』や『マガジン』にも掲載経験のある、
漫画家歴20年以上の黒田広治先生。
自作品のほか、人気作品のアシスタントプロとしても活躍されている先生が
マンガの描き方の基本はもちろん、マンガ業界の実際を
いろいろお話してくださいました!
優しい目元が印象的な黒田広治先生 |
マンガ講座はマンガができるまでのプロセスのお話からスタート。
ストーリー作りや、コマ割りなどは変わらないけれど、マンガ原稿の制作は
デジタル化されて、パソコン上で描くことが圧倒的に多いそう。
「昔は、原稿が出来るのが遅いと編集者がマンガ家の家で待機して、
1枚描き終わるごとにセリフの活字を貼りこむという、切羽詰まったこともザラ(笑)。
でも、今はデジタル化しているので原稿はメールで送り、
フキダシに入れるセリフも編集者がパソコン上で打ち込んでますね。
マンガ家にとっては、描く時間は締め切りギリギリまで確保できるけれど、
その分追いたてもキビシイ…(笑)」
紙にインクや墨汁などで描く時代も経験している黒田先生ならではのエピソードに
マンガ制作の大変さがうかがえました😄
手描きで描いていた時の原稿を、講座に持ってきてくださった黒田先生。
実際に手に取って間近で原画を見ると、その緻密さや線のキレイさに感動❗️
参加者からは、背景や影、服の柄などの効果に使う“スクリーントーン”の
使い方など専門的な質問も飛び、マンガへの興味津々✨
先生が原稿を掲げるとみんなの目がキラキラ⭐️ |
インクで仕上げられた原画はホントにキレイ! |
どうしたらマンガ家になれるか、という質問には、
「マンガは、ストーリーを作る方が難しいんですよ。だから、絵は描けないけど
マンガに関わる仕事をしたいという人は、原作者を目指すのもひとつの方法です。
ストーリーを作るときは、よく言われる“起承転結”は気にしなくていい。
大切なのはその話の何が面白いのか、キャラクターにどんな魅力があるのか。
だから、まずキャラクター設定を固めましょう。
たとえば、主人公の弱点を決めるとか。『ドラえもん』ならネズミですよね。
『ワンピース』の“海賊王に俺はなる!”みたいに、主人公にストーリーの核になる
宣言をさせると、海賊王を目指していろんな話が展開できますよね。
この宣誓は、実生活でも使えますよ。“何か月以内に就職する!”とか、
宣誓することで周りもそういう目で見るので、やらざるを得なくなる(笑)」
なるほど、思えば大ヒットしたマンガはどれも、主人公に特徴があって個性的。
ストーリーも登場人物の魅力が生かされたお話は引き込まれますよね。
どんな仕事でも、想像力が必要なんですね~!
ほかにも、マンガを描くためのツールや必要なテクニックなど、
具体的な話も盛りだくさんで、絵心がなくてもちょっと描いてみたくなりました。
立ち姿や手の描き方など、専門的なレクチャーも |
講座のために鉛筆画も準備してくれました。緻密! |
印象的だったのは、マンガ制作はほとんどデジタル化されていて、
使うソフトもみんな同じだからか、自分の特徴が出しにくくなっている、
みんなが共通言語を使い始めた結果、方言が使えなくなったようなもの、というお話。
最近では原点回帰して、いかにデジタルっぽくなく仕上げるかが命題なんだそう。
「デジタルはひとつのツールであって、パソコンがあればなんでも出来る、
ということではないですから」という黒田先生の言葉は、大いにうなづけました💡
また、ストーリー作りや絵を描くときは、そのテーマや描くものを深く観察することが
必要なんだそう。たとえば刑事ものなら、警察のしくみや内部の構造を調べたり、
警察手帳がどんなデザインなのかを調べたり。絵を描くことで視覚的情報、
ストーリーを作ることでその世界での常識や基礎知識など、
さまざまな情報を調べることになる、と。
「学校の勉強とは違い、自分が必要だと思って調べて、正解にたどりついたときには、
自分の中にしっかり入っています。情報収集力が身に付くのもメリットですね」
う~ん、マンガを描くって本当にいろいろなスキルが必要なんですね…😌
講話が終わると次々と質問が上がり、予定時間をオーバーするほどの大盛況。
参加者のみなさんの熱心な姿も印象的でした😄
ふだん、なんとなく手に取って読んでいるマンガを仕上げるのには、
マンガ家さんのたゆまぬ努力あってのもの、というのを実感できた講座でした!